作・演出:野田秀樹 美術:堀尾幸男 衣装デザイン:ワダエミ 照明:小川幾雄
選曲・効果:高都幸男 ヘアメイク:河村陽子 舞台監督:瀬崎将孝
演出助手:山崎総司 映像制作:奥秀太郎 宣伝美術:平田好 ポスター画:野又穫
プロデューサー:北村明子
出演: 松たか子 :富士
お話。1945年夏、終戦前後の島根県。古代出雲と中東の神との関係を研究する学者は、巫女のような富士さんに出会う。神の声が聞こえるという彼女から、何か証が得られるかもしれないと。やがて終戦。進駐してきた米軍のあり様と、古代神の国盗りの影が交錯していく。そんなある日、油田を発見する富士さん。日米、大騒動。噴出する「オイル」は時空を越え、記憶を呼び覚まして…。
現実の痛み、普遍の悲しみ、強く強く。涙が止められないねこ。これほどに固有の言葉で物語る野田秀樹作品は、初体験。ものを意識した装置、音響らを含め、意外。ちと衝撃的な作品、びっくりねこ。弾む笑い含みの前半から、かつてなくヘビーな後半へ。恨みと復讐に満ちた世界の現実から、日本人のありようを問いかけ。現実を見過ごし、省みることをしない、日本人という逆説を突いた内容は痛烈。
自らの憎悪を御ししかね、途方にくれて、神に問う富士さん。一身に背負い、崩れかけ、それでも歩む悲痛さに涙するねこ。かつてないやり方をとり、言い続けることを表明した野田氏の強い意志も感じられ。イラク反戦デモは手遅れと、ぬかした輩に見せたいねこ。次の戦争、未来へと、悲しいかな永遠に続く訴えなのだと。心配は、時局もの、社会派というくくりで、作品が封印されやしないかということ。
構成は完璧。いつにもまして、驚嘆。時空を行き交いながら、一分の隙もなく連なり。匠の技に舌をまき、酔いしれるねこ。衣装は地味ポップ。ほどよく、いい感じ。
役者。適材適所、ていうか、まるで生まれつき。主要役者はもちろん、若手も大健闘。アンサンブル◎。