野田地図(NODA・MAP)第9回公演 「オイル」

2003年5月21日 (シアターコクーン)

 作・演出:野田秀樹 美術:堀尾幸男 衣装デザイン:ワダエミ 照明:小川幾雄

 選曲・効果:高都幸男 ヘアメイク:河村陽子 舞台監督:瀬崎将孝

 演出助手:山崎総司 映像制作:奥秀太郎 宣伝美術:平田好 ポスター画:野又穫

 プロデューサー:北村明子

 出演: 松たか子 :富士
     藤原竜也 :ヤマト
     小林聡美  :総合的な神マサカ、マッサーカ軍曹
     片桐はいり :ノンキダネ、日本人23
     山口紗弥加 :神宮寺醍子、日本人24
   
 北村有起哉:日本人34、元村長、元元村長、日本人28、被征服民8、ヨナレヲセヌヒト8 
     橋本じゅん[劇団☆新感線] :ヤミイチ
     土屋良太[モザメ] :日本人53、日本人33、日本人83、日本人27、日本人45、被征服民7、ヨナレヲセヌヒト7
     進藤健太郎[無名塾] :知恵の神ロイヤ、ロイヤー伍長
     小手伸也[inner child] :戦いの神コラバガ、コーラバーガ二等兵
    
山中 崇[青島レコード]:日本人52、日本人32、日本人82、日本人26、日本人44、ヨナレヲセヌヒト6
     越志マニング :被征服民ナマコ、日本人43、日本人22
     野田秀樹  :大國教授、日本人25

 お話。1945年夏、終戦前後の島根県。古代出雲と中東の神との関係を研究する学者は、巫女のような富士さんに出会う。神の声が聞こえるという彼女から、何か証が得られるかもしれないと。やがて終戦。進駐してきた米軍のあり様と、古代神の国盗りの影が交錯していく。そんなある日、油田を発見する富士さん。日米、大騒動。噴出する「オイル」は時空を越え、記憶を呼び覚まして…。

 現実の痛み、普遍の悲しみ、強く強く。涙が止められないねこ。これほどに固有の言葉で物語る野田秀樹作品は、初体験。ものを意識した装置、音響らを含め、意外。ちと衝撃的な作品、びっくりねこ。弾む笑い含みの前半から、かつてなくヘビーな後半へ。恨みと復讐に満ちた世界の現実から、日本人のありようを問いかけ。現実を見過ごし、省みることをしない、日本人という逆説を突いた内容は痛烈。

 自らの憎悪を御ししかね、途方にくれて、神に問う富士さん。一身に背負い、崩れかけ、それでも歩む悲痛さに涙するねこ。かつてないやり方をとり、言い続けることを表明した野田氏の強い意志も感じられ。イラク反戦デモは手遅れと、ぬかした輩に見せたいねこ。次の戦争、未来へと、悲しいかな永遠に続く訴えなのだと。心配は、時局もの、社会派というくくりで、作品が封印されやしないかということ。

 構成は完璧。いつにもまして、驚嘆。時空を行き交いながら、一分の隙もなく連なり。匠の技に舌をまき、酔いしれるねこ。衣装は地味ポップ。ほどよく、いい感じ。

 役者。適材適所、ていうか、まるで生まれつき。主要役者はもちろん、若手も大健闘。アンサンブル◎。
 松たか子。くっきりと明るく、力強く。なおさらに涙腺刺激され。
 藤原君。凛々しい、素敵男子ぶり。
 小林聡美。頼もしい。
 橋本じゅん。まだ仕掛けないのかな(それともしないのかな?)


 
カンゲキ日記へ戻る