平成14年寿新春歌舞伎


2002年1月20日 夜の部

 熊谷陣屋

 源平一の谷の合戦で、源氏の武将熊谷直実は平家の公達敦盛を討ち取りました。熊谷には敦盛と同じ十六歳になる一人息子がありました。首実検に来た義経の前に熊谷が差し出す首を見て、熊谷の妻相模ははっとかけよります。もののふの深い人間性を描いた名作で、物語、首実検、無常を悟った幕外の引っこみとしどころの多い熊谷役は、初代吉右衛門、白鸚から幸四郎と三代に伝わりました。相模に雀右衛門、藤の方に松江、弥陀六に左團次、義経に染五郎を配し、これぞ大歌舞伎のひと幕です。

 

 鏡獅子

 これも”石橋物”の一つ。正月十五日鏡曳きの余興に、将軍の前に連れ出された女小姓弥生が踊る前半は、若々しくしかも品よく踊り、手獅子にひかれて花道に引っこんだあと、後半はさっそうとした獅子になる、この対比がみどころでもあり、演者の腕のみせどころでしょう。勘九郎にとって祖父に当る六代目菊五郎有数の当り役だった『鏡獅子』を勘九郎は二十歳で初めて踊って以来、研鑚を重ねて早くもわがものに消化し、なおもライフワークとして取り組みたいと意欲満々です。気力充実の舞台をご堪能頂きましょう。

 

 文七元結

 左官の長兵衛はいい腕をもちながら、酒と博打は好きを通りこして暮しは貧乏のドン底でした。そのさまをみかねた娘が自分から吉原の角海老に身を売ります。さすがの長兵衛も今度ばかりは酒も博打もやめようと決意し、家へ帰る道すがら、大川へ身を投げようとしている若い者を助けましたが……。名人円朝の人情噺を脚色した笑いあり涙あり、めでたしめでたしでしめくくる、初春にふさわしい二幕四場。吉右衛門・松江初コンビの長兵衛夫婦に手代の文七が染五郎、角海老女房に玉三郎と、顔揃えの舞台は歌舞伎座ならでは。たっぷりお楽しみ下さい。


カンゲキ日記へ戻る